その昔、アルパインクライマーであったことの僥倖

自分は1970~80年代に、日本で割とガチなアルパインクライマーで、夏山、ロッククライミング、冬山、氷壁、そしてヒマラヤへの遠征隊にまで参加する機会に恵まれた。

それでも、ネパールに永住するなんて考えたことはなかった。それが今、人生の半分以上をネパールで暮らして、このまま死ぬまでここにいると思う。ネパール国籍の取得も考えている(ネパールの家族が反対しているけれど)。

人生の一時期をクライマーとして過ごしたから、ネパールでトレイルランナーになれた。

そして今に至るまで、日本の、世界の登山家の皆さんから「仲間」扱いをしてもらっている。面白い文化行事に参加する機会にも恵まれた。

日本の両親からは「いつか山で遭難して、捜索費用で家族を破産させる。世間様に迷惑をかけて、真面目に生きてきた父さん母さんを社会的に破滅させる」と非難され続けてきたが、これを補って余りある仲間に恵まれた。

事実、山でいってしまった仲間はいるけれど、誰も家族を破滅させてはいないよ。悲しませてはいるけれど、あいつら、まだみんなの胸の中で生きてるんだよ。世の中にはそんな生き方もあるんだよ!

山には、言葉では言い表せない異世界がある。そこに入るには、ただ、自分と仲間に誠実に、自然に対して謙虚であればいい。スーパークライマーでなくたっていい(もちろん、一流の方たちだけが知る世界もあるし、尊敬するしかない)。

と、しばらく騒がしく過ごしてきたのが落ち着いて、そんなことを思う。